中村超硬(6166・東証グロース):売上高増収で営業損失から利益転換、来期は大幅な業績改善を予想
- funbunm
- 6月10日
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【2025年3月期 経営成績】
- 売上高:2,640百万円(前期比9.4%増)
- 営業利益:7百万円(前期532百万円の損失から利益転換)
- 経常損失:21百万円(前期553百万円の損失から改善)
- 親会社株主に帰属する当期純損失:32百万円(前期144百万円の利益から損失転換)
【2026年3月期 業績予想】
- 売上高:3,000百万円(前期比13.6%増)
- 営業利益:35百万円(同350.1%増)
- 経常利益:55百万円(前期21百万円の損失から利益転換)
- 親会社株主に帰属する当期純利益:10百万円(前期32百万円の損失から利益転換)
【アナリストコメント】
同社は化学繊維用紡糸ノズル、特殊精密機器、D-Next、マテリアルサイエンスの4事業を展開する専門メーカーであり、2025年3月期は厳しい事業環境の中でも売上高の増収と営業損失からの利益転換を実現しました。売上高については前期比9.4%増の2,640百万円となり、主力の化学繊維用紡糸ノズル事業において風力発電用ブレード向け炭素繊維用ノズルの旺盛な需要が継続したことが大きく寄与しています。営業利益では前期532百万円の損失から7百万円の利益へと転換を果たし、収益基盤の改善が確認されています。
事業別では、化学繊維用紡糸ノズル事業が売上高1,679百万円(前期比6.9%増)、セグメント利益146百万円(前期55百万円の損失から利益転換)と好調な業績を示しました。特に風力発電用ブレード向けを中心とした炭素繊維用ノズルの需要が堅調に推移し、事業の収益性向上に大きく貢献しています。特殊精密機器事業においても、新素材で製作した実装機用ノズルの出荷開始や商社を活用した自動車部品メーカーからの受注獲得により、セグメント利益29百万円(前期11百万円の損失から利益転換)を達成しました。
一方、D-Next事業では、パワー半導体・難削材向けダイヤモンドワイヤの販売が順調に伸長したものの、車載用を中心とした半導体需要低迷の影響を受け、売上高243百万円(前期比100.9%増)ながらセグメント損失91百万円となりました。マテリアルサイエンス事業についても、ナノサイズゼオライトの一部用途分野での正式採用が決定したものの、本格的な量産には至らず、セグメント損失96百万円となっています。
2026年3月期については、各事業分野での成長戦略の本格化により大幅な業績改善を見込んでいます。売上高は前期比13.6%増の3,000百万円を予想しており、特殊精密機器事業では新素材実装機用ノズルの本格販売や半導体製造業界への新規参入、化学繊維用紡糸ノズル事業では航空機向け炭素繊維用ノズルの好調な推移と米国・メキシコ・インド・トルコ等への営業展開強化を計画しています。D-Next事業においても国内大手顧客でのシェア拡大と海外顧客開拓により売上拡大を目指し、マテリアルサイエンス事業では電子部品封止剤用途での量産開始とグローバル市場への展開を推進する方針です。営業利益は前期比350.1%増の35百万円、経常利益55百万円、当期純利益10百万円とすべての利益項目で大幅な改善を見込んでおり、同社の事業構造改革と成長戦略の成果が期待されます。
※5月12日発表「2025年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」より