リプロセル(4978・東証グロース):米国子会社好調により大幅上方修正、経常利益と当期純利益で利益転換へ
- funbunm
- 6月9日
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更新日:6月10日

【業績修正の要点(2025年3月期)】
- 売上高:2,661百万円→2,978百万円(前回比+317百万円、前回比+12%)
- 営業利益:325百万円の損失→113百万円の損失(前回比+212百万円改善)
- 経常利益:174百万円の損失→62百万円の利益(前回比+236百万円、利益転換)
- 親会社株主に帰属する純利益:174百万円の損失→120百万円の利益(前回比+294百万円、利益転換)
- EPS:1.96円の損失→1.30円の利益
【アナリストコメント】
リプロセルは2025年3月期通期連結業績予想を大幅に上方修正し、経常利益段階での利益転換を見込む良好な業績修正を発表しました。売上高は当初予想から317百万円増加の2,978百万円となり、12%の大幅な上方修正となっています。
業績改善の主要因は海外子会社の好調な事業展開にあります。100%子会社のREPROCELL USA Inc.における研究試薬等の販売事業や臨床用iPS細胞製品の販売事業が想定を上回る好調な推移を示しており、同社の国際展開戦略の成果が顕在化しています。また、REPROCELL Europe Ltd.におけるヒト組織アッセイの販売事業も堅調に推移し、グローバルな事業基盤の拡大が収益向上に寄与しています。
特に注目すべきは、臨床用iPS細胞製品の粗利率の高さです。同社の高付加価値製品である臨床用iPS細胞製品の販売拡大により、売上高の増加以上に利益面での改善効果が期待されており、同社の技術優位性と競争力の高さを示しています。
営業外収益面では、REPROCELL USA Inc.が米国メリーランド州政府の外郭企業TEDCOが運営するMaryland Stem Cell Research Fundから総額738,407ドルの補助金を受賞し、2025年3月期に101百万円を収益認識したことも業績押し上げに寄与しています。この補助金は同社の幹細胞研究における技術力と将来性が評価された結果であり、米国市場での事業基盤強化にとって重要な意味を持ちます。
2025年3月期は営業利益段階では依然として113百万円の損失を計上する見通しですが、前回予想の325百万円の損失から大幅に改善し、経常利益62百万円、当期純利益120百万円と利益段階での転換を実現する見込みです。特に、REPROCELL USA Inc.における将来の利益予測に基づく繰延税金資産の計上により法人税等調整額が利益増加要因となっており、税務面での改善効果も寄与しています。
同社の研究支援事業とメディカル事業の両輪による成長戦略が着実に成果を上げており、特に高付加価値製品である臨床用iPS細胞製品の市場拡大期待を背景に、中長期的な収益基盤の強化が期待されます。
※5月12日発表「営業外収益、特別損失の計上及び2025年3月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」より