アスカネット(2438・東証グロース)・2025年4月期通期は業績下方修正、棚卸評価損や特損で純損失計上
- funbunm
- 5月15日
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更新日:5月30日

【業績修正の要点(2025年4月期通期)】
・売上高:7,720百万円→7,257百万円(増減率:△6.0%)
・営業利益:520百万円→176百万円(△66.1%)
・経常利益:535百万円→180百万円(△66.3%)
・親会社株主に帰属する純利益:324百万円→△266百万円(-%)
・EPS:19.73円→△16.52円(36.25円差)
【修正理由・背景】
売上高について、フューネラル事業は順調に推移しましたが、フォトブック事業において主力のウェディング市場の環境が想定以上に厳しかったこと、コンシューマ市場の回復がなかなか進まなかったことに加え、空中ディスプレイ事業において、センサーの供給不安や案件の長期化などにより、海外代理店経由の売上が見込み通り計上されず、前回発表予想を下回る見込みとなりました。営業利益、経常利益については、フューネラル事業は堅調だったものの、フォトブック事業において売上が想定を下回ったことによる稼働率の低下や材料費の増加などによりセグメント利益が計画を下回りました。それに加え、空中ディスプレイ事業において売上未達による粗利減少、また棚卸資産評価減254百万円を売上原価に計上したことなどにより、大幅な減益となりました。親会社株主に帰属する純利益については、営業利益、経常利益が想定を下回ることに加え、特別損失として固定資産の減損損失147百万円及び投資有価証券評価損230百万円を計上することになったことから、純損失となる見込みです。
【中長期の見通し】
アスカネットは、フューネラル事業、フォトブック事業、空中ディスプレイ事業を展開しています。フューネラル事業は安定的な成長を続けており、引き続き業績の下支えとなることが期待されます。フォトブック事業については、ウェディング市場の環境改善とコンシューマ市場の回復次第で業績回復が見込まれます。空中ディスプレイ事業は、その新規性・独自性から注目を受けているものの、事業の収益化には依然として時間を要しており、今期は大幅な損失計上に至りました。同社では、4月8日の取締役会で代表取締役社長の交代を決議し、村上大吉朗氏が新たに代表取締役社長に就任することで、経営体制の刷新を図り、早期の立て直しを目指します。
【アナリストコメント】
アスカネットの2025年4月期通期業績予想は大幅な下方修正となり、特に純利益が324百万円の利益予想から266百万円の損失となることが発表されました。空中ディスプレイ事業の不振が主要因で、棚卸資産評価損254百万円や特別損失377百万円の計上が響きました。代表取締役社長の交代を含む経営陣刷新により、経営責任の明確化と立て直しへの意志を示しています。投資家にとっては一時的な業績悪化として捉えるか、構造的な問題として見るかが判断の分かれ目となりそうです。フューネラル事業の安定感は評価できるものの、空中ディスプレイ事業の事業化に時間を要している点は懸念材料です。一方で、新経営陣のもとで事業再編や選択と集中が進めば、中長期的な成長が期待できます。配当については7.00円の予想を維持しており、株主還元への配慮が見られます。今後は、新社長の具体的な立て直し戦略と空中ディスプレイ事業の収益化スケジュールに注目が集まります。
※2025年4月8日発表 リリースより